出生前診断(超音波と血清マーカーの組み合わせ検査)を受けた
とある平日に午後半休をとってHレディースに向かった。
広くて清潔感のあるクリニックだった。
カウンセリングでは事前に調べていて分かっていたことばかり話される。確定ではなく確率になること、ダウン症診断になること、確率が高かったら羊水検査を受けることなど。
まあそういう話になることも分かってはいたが。
この30分足らずのカウンセリングで5,000円もかかるんだから医者も儲かるはずだ。
カウンセリング後、まず採血をしてその後超音波検査。
カウンセリングと超音波検査は院長先生が担当だった。
「見た感じ首の後ろの浮腫みも見えないねー」と。
約1時間ほどの検査を終えて帰路に着いた。
結果が分かるのは約1週間後とのこと。
組み合わせ検査を受けることに決めた
絨毛検査を受けたかったが20万円という費用にひるみ、確定検査ではなく確率検査となるが他の検査を調べ始めた。
超音波検査と血清マーカーの組み合わせ検査をTクリニックで受けると5万円。
色々調べてTクリニックより安く受診できる病院を見つけた。
Tクリニック同様、超音波NTと母体血清マーカー(2種)を組み合わせたもの。
どちらか単体で受けるより高い精度の確率が見込めそうだ。
さっそくこのHレディースに電話をかけ、予約をとった。
まずカウンセリングに来てもらい、その後に検査になるので2日間も行かなくてはいけないそうだが仕方ない。
と、電話で日にち確認を進めていたらその日にちに他の予約が入ってしまったとのこと。
日をずらしてほしいが、その代わり1日でカウンセリングも検査も受診できるとのことだったのでむしろ好都合だった。
絨毛検査の検査費用でストップがかる
絨毛検査。
妊娠10〜13週で受けられる。
ほぼ100%の基準でダウン症判断ができる。
自分は高齢出産の部類なので受診も問題ない。
流産のリスクもあるが、受け入れられる。
ただ、実施している病院はとても少ない。
検索魔となり、いくつかピックアップ。
その中でも評判も良く信頼できそうで行きやすい場所にあり、ホームページに大体の値段が書いてあるTクリニックに照準を絞った。
早速電話して予約を入れてみる。
とても感じの良い方が対応して下さり、運良く早めの日に予約がとれそうだ。
検査にあたり、産婦人科で用意してもらうものがいくつかあったので産婦人科に電話して相談。
問題なさそうだったので再度電話をして予約を入れることにした。
しかしここで問題発生。
ホームページで見た値段に更に諸々費用がかかり、トータル20万円くらいかかると言われた。
20万円。
是非受けたい検査ではあったが、さすがにポンと出せる金額ではない。
困った、どうしよう。
そんな私に感じ良く対応して下さっていた受付の方は、他にも出生前診断があることを教えて下さった。
超音波検査と血清マーカーを組み合わせたもので、これだと5万円くらいで受けられると。
絨毛検査は「判断できる検査」でこの組み合わせ検査は「確率を出せる検査」だという違いも教えていただいた。
なるほど、そういうものもあるのか。
一旦考えることにして電話を切った。
出生前診断をしたい
妊娠検査をしてもらった産婦人科に数日後にまた行って初期血液検査をしてもらった。
12,000円の補助券を使っても更に10,000円くらい自費負担。
高い・・・。
でも、まだ産むと決めたわけではない。
私はいわゆる高齢出産にあたる年齢ということもあり、とにかく産まれてくる子の障害が怖い。
絶対に受けようと決めていた出生前診断。
リスクがあるようなら夫も事前了承のもと、出産はしないと決めていた。
「障害があろうとどんな子でも受け入れる」と言える人は本当に強い立派な人だと思う。
しかし自分はそうではない。
出生前診断と言えば羊水検査が有名だし最初はそれを考えていたが、16〜17週にならないと受けられない。
この時は9週目。
そんなに待っていられない・・・。
なので、羊水検査に変わる出生前診断を調べることにした。
● NT超音波検査(胎児超音波スクリーニング検査)
● 母体血清マーカーテスト
● 新型出生前診断(NIPT)
● 絨毛検査
絨毛検査に目が留まった。
3つ目の病院へ
そしてまた病院探し。
ネットで探してみたけど最寄り駅では良い病院が見つからなかったので隣駅の産婦人科へ行くことに。
Aの隣駅とBの隣駅それぞれに産婦人科があり、迷ったけどHPがまだ機能していて女医さんのいるAの産婦人科に決定。
Bは夜遅くまでやっているのが魅力だったけど、HPがちゃんとしていなかったのと男性医師だったのがネックで。
予約不要の病院なので、午後半休をとって午後1の診察に間に合うように向かう。
目的は本当に切迫流産でないかを再確認してもらうこと。
古めかしい個人病院。
待合室は広いけどウォーターサーバーもなし。
受付も本当に昔の小さな受付台で愛想のないオバサンが対応。
けど、先生がとても良い方。
女性の方でお母さんのような柔らかさと話しやすさがあって、助手の方々も年配だけどとても優しく感じが良かった。
そしてやっぱり切迫流産ではないと言われた。
あまり重い軽いとか判断したくないけど、多少血が出ているくらいだと。
絶対安静とも言われなかった。
夫とも話したことだけど、診る人によって結果は変わるもので判断を急いじゃいけないんだな・・・。
(それとも急に治った?)
最初の病院で切迫流産と言われ、それからは何をするにもビクビクしていたからやっと安心できた。
無事に通勤できて一安心、無事にお風呂からあがれて一安心、寝る時には大きめのタオルをお尻に敷いておいて朝起きて出血していなくて一安心、のような感じだったから。
もしここに通うなら血液検査をしないといけないからまた来てねと。
この時点で妊娠9週。
まだ結論は出ていないけど、夫も私も何となく産む方向に向かいだした。
中絶手術の先延ばし
帰宅して夜に夫と話す。切迫流産ではないと言われたと。
私同様に驚く夫。
そして「じゃあちょっと中絶は待とう。1週間くらい考えてみようよ」と。
私もうなずいた。
そして2人で久しぶりに笑い合えた。
心が軽くなった自分がいた。
翌日、病院に電話して中絶手術を1週間先延ばししたいと伝えた。
そうしたら「その週数ではもううちでは対応できないので他を探して下さい」と言われてしまった。
まだ初期中絶には余裕のある週数だと思ったけど‥
まあ、病院ごとに対応できる週数の違いがあることは知っていたので。仕方ない。
中絶の申込み、そして転機
中絶を決めたので病院を調べることに。
この頃は既に9週だったので急がなくては。
8月初旬だったが、病院によっては早めの夏休みで長期休院の病院も散見される。時期が良くなかったなあ。
妊娠初期の中絶は値段も10万円前後とお安く、全身麻酔をかけるので痛みもなく、あっという間に終わるという手軽さに驚いた。
早めに決断して良かったかもしれない・・・。
家の近くやよく通る場所は嫌だった。
そこを通る度に思い出して辛くなるだろう。
色々とネットで調べたり電話で問い合わせながらそれなりに離れた場所、でも行きやすい場所で良さそうな病院を見つけた。
予約は不要だったので平日に午後半休をとり、赴いた。
先客は3名ほど。
特にお腹が大きい人たちではなかったが、きっとこの人たちは普通に出産するのだろう。
なんとなくそんなことを感じ、いたたまれない気持ちになって小さくなっていた。
ほどなくして診察室に呼ばれる。
女性の先生は問診票を見ながら「お産みにならないの?」と。
「仕事が変わったばかりで休めなくて・・・夫とも相談して決めました」と答える。
診察台に上がり、中を確認してもらう。
このまま手術を受けることを確認し、夫のサインも必要な同意書を渡される。
そして3日後の土曜の朝一で手術を受けることになった。
その前日、つまり2日後の金曜の夕方に子宮を広げる準備をするからそこにも来てくださいと。
ふと気になったので聞いてみた。
「あの、妊娠を確認した病院では切迫流産の状態と言われたんですけど、手術は大丈夫なんでしょうか」
「切迫流産?いや、それはないですよ。
多少血は出ていますけど」
え?
切迫流産じゃない?
だって妊娠確認の診察に行ったの1週間以内だよ?
頭の中が「?」だらけになる。
これが大きな転機だった。